「ステイ・ホーム」でアルコール依存に!?
新型コロナウイルス感染症対策として、外出の自粛(ステイ・ホーム)が求められています。密閉・密集・密接の「三密」を避けて感染を防いだり、感染を広げないための呼びかけです。そのため、親しい仲間との「オンライン飲み会」や、自宅で一人で飲む「家飲み」が、ちょっとしたブームになっているようです。そういう楽しみ方もできるのかと感心する一方で、アルコール依存症の増加を心配する声も聞かれます。
アルコール依存症は、習慣的な飲酒が原因で、アルコールを止めたくても止められなくなり、自分の意思では飲み方をコントロールできなくなった状態です。日本人の100人に1人は経験すると言われ、習慣的に飲酒する人であれば、誰でもなる恐れがある病気です。
この病気の恐ろしいところは、自分では気づかないうちに進んでいくという点です。
習慣的に飲酒を続けていると、以前と同じ量では酔わなくなり、飲酒量が増えていきます。アルコールに対する耐性ができたために、少量では酔いを感じなくなるのです。
また、飲酒時の記憶がない「ブラックアウト」が頻繁に起こるようになります。泥酔したわけでもないのに、どうやって帰宅したのか、誰とどんな会話をしたのかなど、飲酒時のことが思い出せない脳の記憶障害です。アルコール依存症の初期症状と考えられるので、思い当たる場合は要注意です。
さらに進むと、ほどほどで止められない、つい飲み過ぎてしまう、お酒を飲むことばかりを考えてほかのことを考えられないといった状態になります。
体にも変化が現れます。アルコールが切れると、発汗、手の震え、不安、イライラが起こったりします(離脱症状)。
離脱症状は、お酒を飲むと治まります。しかし、それは一時的なものです。こうして、「離脱症状→お酒を飲む→アルコールが切れる→離脱症状→お酒を飲む」という悪循環に陥るのです。
こうなると、日常生活にもさまざまな問題が発生します。
飲酒が生活の中心になり、朝からお酒を飲むようになるため、仕事で失敗がつづいたり、仕事を失ったりします。社会的な信用を失ったり、家族や近隣、知人とトラブルになり、家庭が崩壊することもあります。食事をとらずに飲酒を続けるようになり、体調を崩してしまいます。
そうならないためには、できるだけ早期に、専門の治療を受ける必要があります。アルコールに限らず、依存症は「意志が弱いから」「根性がないから」止められないわけではありません。誰でもなる可能性がある病気であり、反省や後悔をしても、また繰り返してしまう脳の病気です。一人で抱え込まないで、家族だけで悩まないで、早めに専門の機関に相談することが大切です。
⇒お酒とのかかわり方チェックしてみませんか。
新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト (厚生労働省 e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-026.html
*アルコール依存症の相談機関は、依存症対策全国センターのページから検索することができます。
https://www.ncasa-japan.jp/you-do/treatment/treatment-map/