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「レムデシビル」のスピード承認で一歩前進か

ゴールデンウィーク明けに解除が期待された緊急事態宣言が、さらに1カ月近く延長され、コロナ疲れ、自粛疲れの空気が漂う中、5月7日、新型コロナウイルスの治療薬として「レムデシビル」が異例のスピードで承認されました。目に見えない敵「新型コロナウイルス」との闘いに、国内初の治療薬として承認されたレムデシビルは、果たして救世主となるのでしょうか。

 

 通常、医薬品が承認されるまでには、申請から1年程度、時には2年ほどを要すると言われます。それに対して今回は、医薬品医療機器法の「特例承認」という制度を使って審査が大幅に簡略化され、申請からわずか3日で承認されました。

 

 レムデシビルは、アメリカの製薬会社「ギリアド・サイエンシズ」がエボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた薬です。コロナウイルスの一種であるSARSやMERSに対して効果があるという研究結果が示されていたことから、新型コロナウイルスにも有効ではないかと注目されてきました。

 

 新型コロナウイルスは、人の上気道で感染して細胞の中に入り込み、自分のRNAという遺伝子をコピーして増殖します。レムデシビルは、RNAのコピーをできなくさせることによって、ウイルスの増殖を防ぐ作用があるとされています。

アメリカでの臨床試験では、レムデシビルを投与された患者は、投与されなかった患者と比べて回復までの期間が4日早く、11日で回復したことが確認されています。

 

 治療薬として国内で初めて承認されただけに、これで治療が一歩前進したのではないかと期待がふくらむ一方、多臓器不全や腎臓障害、敗血症などの重い症状や、肝機能障害、発疹、下痢などの副作用の報告もあります。中国での臨床試験では、効果は確認できなかったとされ、治療薬としての有効性や安全性は確立されていないのが現状です。いまのところ、流通量も限られていることから、重症患者に限定して提供されることになっています。

 

 これ以外にも、効果があるのではないかとして患者へ投与され、有効性や安全性の検証が進められている薬があります。

 

 例えば、日本の富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザ薬の「アビガン」は、ウイルスがRNAをコピーするのを阻止する働きがあることから、新型コロナウイルスの治療薬としての有効性が期待されています。

軽症患者の症状改善に有効とされ、国内の安定供給体制の確立も進められ、5月中にも治療薬として承認される見通しです。しかし、動物実験で奇形児の発生が確認されていることから、妊婦には使えないというデメリットがあります。

 

 ぜんそく治療に使われる吸入薬の「オルベスコ」は、肺炎になった患者に使用したところ、この薬を使わなかった場合に比べて、悪化を防げる可能性があることが報告されています。

 また、関節リウマチ薬の「アクテムラ」は、重症の呼吸器不全の改善につながる薬として、効果の検証が進められています。

 

 このほかにも、治療薬の開発に向けてさまざまな研究が世界中で進められていますが、多くの研究が、別の治療目的で開発された薬を新型コロナウイルスの治療に応用することを目指すものです。そのため、どの薬についても、100%の有効性や安全性を期待することはできません。それだけに、それぞれの薬の副作用を慎重に見極めながら、長所を生かす治療が求められます。

 

◆ツクレコメント

いよいよ感染症対策治療に関する明るい話題です。検査方法も開発されているニュースもあります。こうしたニュースが、感染症対策にどのように意味を持つのかを理解する為に、感染症という疾患のわかりやすい媒体を見つけました。

ご案内させてください。

日々流れる新型コロナウイルスに関するニュースを思い浮かべながら聴講すると、先生のお話がわかりやすいです。

 

岐阜医療科学大学 保健科学部 臨床検査学科

中山 章文教授の動画です

https://talk.yumenavi.info/archives/2362?site=d&close=true

 

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